「……あー、もう、食べちゃえ」
深夜11時。 静まり返ったキッチンに響く、パッケージを開ける微かな音。
頭の中を支配する、暴力的なまでの甘い誘惑。
明日のむくみ、肌荒れへの懸念。 そんな理屈をなぎ倒す、本能の叫び。
今の私を救えるのは、白湯でもハーブティーでもないんだよね。
冷蔵庫で冷え切った、あの背徳的な一口。
それだけ。
一日中、誰かのために「ちゃんとした大人」を演じきった代償。
すり減った精神。
そんな夜にまで、自分を厳しく取り締まる必要なんてあるのかな?
健康のための「我慢」が、自分を追い詰める「鎖」になっていない?
「私だけが、こんなに意思が弱いのか」という、静かな絶望。
一口食べるたびにこみ上げる、重い罪悪感。
本当は「美味しい」と笑いたいだけだよね。
後悔に怯えて、心から味わえない夜。そんなの悲しすぎるじゃない?
だから、もう、開き直る。 爆食、暴食、どんとこい。
「負け」じゃない。これは、明日を生き抜くための「心の消しゴム」。
今日という一日に、自分で出す「合格点」。
目を閉じて、ただ、味わう。 舌の上で溶ける甘み。
今日一日、無理して飲み込んできた不満や涙を、 静かに、優しく消し去っていく魔法。
鏡に映る、少しだけ表情の和らいだ自分。
「丁寧」な食事制限は守れなかった。
けれど、自分の心の悲鳴を、私はちゃんと受け止めた。
どんな高級美容液よりも、内側から潤う「最高の自愛」だと思わない?
深夜のスイーツ。明日を戦うための、正当な必要経費。
胃袋も、心も、パンパンに満たして。 あとは深く、静かな眠りへ。

