「今月頑張ったから、新しい財布を」 「ボーナスが出たから、温泉に」
かつての私が信じて疑わなかった、ご褒美の定義。
今はそれすら、どこか遠くにある「大きなイベント」。
自分を極限まで追い詰めた先にある、輝かしいご神体。
今の私を救ってくれるのは、華やかなトロフィーじゃないんだよね。
いつから、自分への許可証がこんなに高価になったんだろう。
家事をこなせない自分を責めて、
「こんな私にご褒美なんて、まだ早い」と自分を取り締まる日々。
謎のストイックさ。
疲れきった夜にまで、そんな厳しい軍隊みたいなルール、本当に必要?
ホテルのアフタヌーンティー。新しい限定コフレ。
現実は、シンクに溜まった洗い物と、
脱ぎっぱなしの靴下。
必要なのは「映え」じゃない。もっと泥臭くて、温かな救いなんだよね。
今日の私へのご褒美は、スーパーの隅で見つけた100円の入浴剤、1個。
掃除を明日の自分へ丸投げして、少しだけ早めにお風呂に潜り込む。
湯船の中で、じわじわと体温が上がっていく感覚。
「今日も生きてて、えらかったな」
誰にも見られない場所で、自分にかける魔法の言葉。
この古いお風呂も最高級のプライベートスパに見えてくる。……うん、問題ない。
お風呂上がりの肌に触れる。 指先から伝わるのは、今日をなんとか完走した「私」の温度。
高いお金を払わなくても。パジャマのまま、自分を許してあげるの。

