SNSを閉じて肌に触れる。

ふと、みんなはどうしているんだろうと思う。

流れてくるタイムラインには、 丁寧に淹れられたコーヒーや、整ったインテリア。

私が見逃している「正解」が、そこには溢れている気がして。

ざわつく心を落ち着かせるために、 そっと、スマホの画面を伏せた。

画面の向こう側は、いつも眩しすぎる。

誰かの充実した一日や、完璧にこなされた家事。

それに比べて、私の部屋は少し散らかっていて、

鏡に映る顔には、隠しきれない一日分の疲れが張り付いている。

「私だけが、置いていかれているのかな」

そんな、答えの出ない問いが頭をよぎる夜。

でも、誰かのキラキラした瞬間を追いかけても、 今の私の乾きが癒えるわけじゃない。

スマホの青白い光を消して、部屋の明かりを落とす。

代わりに灯すのは、小さなキャンドルの火。

今、私に必要なのは「誰かの正解」を見ることじゃない。

お風呂上がりの肌に、

手のひらで、ゆっくりと頬を包み込む。

「今日もお疲れさま」 心の中でつぶやくと、指先から確かな自分の体温が伝わってくる。


みんながどうしているかなんて、今はどうでもいい。

誰かと比べるのをやめた瞬間、 世界で一番贅沢な場所に変わる。

「丁寧」な発信はできなくても、 自分を丁寧に扱うことなら、今、この場所で始められる。

スマホを閉じて、深く息を吐く。

ひんやりとした静寂の中で、私はようやく私に戻っていく。